2014年11月1日土曜日

番外編3: ザ・ニッポン

−先日の続き−

ユニクロ発見。観音様とテトラポットが並ぶ隣にある店だった。即、店に飛び込み長袖プリントTシャツを買った。つい先日にも他支店で7年ぶりの買い物で5人家族みんなでそれぞれ買い漁って5万円以上掛かったばかりというのに、また買い足している。だいぶ貢献しているなあ。


早速それを着込んで出発することにした。もう、夕日になっていた。いいタイミングで買えたと思う。日本は便利だ。
予約してある宿もチェックインが5時を過ぎるようならば連絡をくださいと書いてあったので電話を入れる。Google Mapで見ればあと約1時間と出ている。

もう道に迷うことはなさそうだ、何しろ先週に家族で同じ道を通ってきたのだから。と、うろ覚えの道を行く。確かに見た景色だ。確か何度も関所を走るような有料道路を行ったと思う。バイクだとさぞ面倒臭いだろうなあと思いながら、車で通過したのだ。

だが行けどもその有料道路がわからない。いや、看板を曲がったはずなんだけど、なぜかわからない。そうしている間に日は沈んでしまい、だんだん暗くなってきた。いわゆる薄明だ。撮影用語で言えばマジックタイムだ。またもや見つけたコンビニの駐車場に飛び込んでGoogle Mapをチェックする。すると間違ってはいないようだ。

それを確認してから自信を持って進んでいくがどうやら有料道路は方向違いでこのまま一般道をそのまま行ったほうがよさそうだった。安心して進んで行ったのだが、なぜか道はめちゃめちゃ狭くなり知らぬ間に一方通行みたいな幅の道を進んでいる。両脇には風情のある建物だ。絶対に行くべく道と合っている気がしなくなった。

すると突然、提灯やら派手な赤い神社風なフェンスがある開けた所に出たところで、右手に見えたのは神社に向かう長い階段を上る4人のそれぞれ違う色の浴衣を着た女性の姿だった。時間にして彼女たちが2歩進むかどうかだったと思うがその瞬間が、ものすごく美しかった。これぞ、日本、と思わせる様なシーンに出会い、しばしジーンとした。

さて、ジーンとしたのもつかの間、まずは自分たちの行き先である。その道はあっという間に周囲が暗くなり、細々としてどこかの道とぶつかった。こちらの方が広そうなので、きっとどちらかに行けばどうにかなるはずだが、どちらが近いのかが問題だ。

もう真っ暗になっていて、またGoogle Mapを見るのだが、道が入り組んでいて角度が変わっていると交差点で見るマップは良くわからなかった。私はバカなのかもしれないと本気で思った。そうする二人の横を通りすがりのおじさんが声をかけてくれた。次を右、そして右、そしたら左で大丈夫だよと。礼を言っておじさんの言う通り、右、右、左と先輩と二人、吉四六さん状態で他のことを喋らないようにしばらく走ると、無事、それなりの道に出た。めでたく「西伊豆」を示す看板が見えた時の喜びといったら無い。

ようやく見つけたピッチブラックの136号線をひた走る。まだ周りにも車が結構走っていた。安全運転の先輩はスピードを落とすと地元の車にどんどん先を譲った。峠での走りは割と楽しめた。W650は手頃なパワーを所有しており、私のハーレーよりもはるかに良い効きのいいブレーキを持っているので、これでも俊敏な動きに感じる。Zephyrはどうだったのだろうか。途中、取り替えてもらおうと思っていたのに、チャンスをなくしてしまった。

日のあるうちだったら、もうちょっと楽しめたかもしれない峠の景色など全く無関係だった。達磨峠とかも行ってみたいなと日本へ来る前に妄想していたのに。

さて、目的地の土肥に着いた。でも実は、勝負はこれからだった。
着いたはいいが、町はガランとしていて人っ子一人歩いちゃいない。それどころか、宿の看板もどこなのかわからない。夜だと尚更なのだろう。町の中の道も升目だったりして、どこをどう走っているのかわからない。こうなると地図を見ながら歩いた方が早いくらいだ。さすがにiPhone片手に持ちながらバイクで走ることは困難だ。何度もその小さい誰も歩いていない町に二人のバイクのエキゾーストが響き渡った。

iPhoneで信じられないくらい細い道を曲がれと表示が出ているので、そこを入っていくとなんといきなり右側にそびえる、それは立派な旅館が目に飛び込んできた。牧水荘土肥館という。よく見ると、建物の目の前にはもっと簡単にこれる道がまっすぐ伸びていた。

ウェブで見つけて予約していたのだが、着いてびっくり、本当にすごい立派。天井は低いが屋根付きガレージでツーリング宿に最適だった。先輩もこれは嬉しかったようだ。

着いた時間は6:15くらいで、夕飯は6:30でお願いしますと言われ、いやあ、これには参った。ご丁寧に部屋の要所を説明され、その時間は更になくなる。どうしても、とお願いして15分延ばしてもらい、温泉にダイブし、濡れ濡れの髪のまま浴衣を着て夕飯へ。
料理は素晴らしく、大きめのテーブルが料理で埋め尽くされていた。こんなに出るのに、あの値段?と驚いた。二人の7年ぶりの夕食はとても楽しいものになったのは間違いない。久々に日本酒も入り会話が弾んだ。

先輩もあの神社の階段シーンに思うものがあったとその時初めて言い、二人で盛り上がった。いいシーンが観れたと。私があのシーンを撮れなかったのが悔しいと言うと、「いや、あれは撮ったらポスターみたいなつまらないものになる。」と言った。美しさを思いだす事が嬉しいと言っていた。

ほほう、である。ちょうど日本に来る時、機内で見たベン・スティラーのLife!を思い出した。


食後、今度はゆっくりと温泉に浸かり、疲れを癒しまくる。
もちろんコーヒー牛乳もいただいた。



戻った広めの部屋に敷かれた布団に寝転ぶと天井には手裏剣があった。
よく寝れそうだった。

まだつづく。


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